衆議院解散で、実質的な選挙戦が始まった。テレビ局に義務づけられる「政治的公平性」の問題に各局の番組プロデューサーは「一様に胃痛に悩まされ始めた」と、ニュースキャスターの辛坊治郎氏は指摘する。
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政党助成法上、政党とは「所属国会議員5人以上」または「国政選挙で得票率2%以上」と規定されている。これを、番組出演の条件として「または」ではなく、「かつ」に狭めるのは、局の判断として不当ではないだろう。
今回の衆議院選挙でもこの手法を使うと、いくつかの小政党に番組出演をご遠慮いただくことができるのだが、この条件で出演政党を選別すると、「日本維新の会」が「得票率2%」の条件をクリアできずに、番組から排除されてしまう。
番組制作サイドの欲求としても、また、視聴者の知る権利に応えるという意味でも、これは受け入れがたく、かといって、その他の小政党を排除しながら「維新」だけを出演させる合理的理由を見つけ出すことも難しく、結果的に「全部の政党を出演させる」という判断をせざるを得なくなった。
現時点での政党助成法上の政党は14だ。これらの政党に「公平」に3分ずつ発言機会を与えると42分かかり、1時間番組ならそれだけでほぼ終わってしまう。かといって、改選前議席に応じた時間配分をすると、民主党15分に対して新党日本5秒などという事態となる。さらに現在、各テレビ局には複数の小政党連名で「民主、自民などに偏った放送は放送法に違反し、小政党に発言機会を与えるように」という文書での申し入れが行われており、それらの政党の扱いしだいで選挙後に訴訟も含めた法律上の問題発生もあり得る情勢なのだ。
※週刊朝日 2012年12月7日号