「猥談」好きを公言することは、なかなか勇気のいることだと思うが、俳優、演出家、脚本家として活躍する河原雅彦氏は、きっぱりとこう断言する。「三度の飯より猥談が大好きだ」。彼の「猥談」論は以下のとおりだ。

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 三度の飯より大好きなものを答えよ、と問われれば、即座に「猥談です」と答えるぐらい猥談が大好きだ。とはいえ、人生いろいろ猥談もいろいろ。酔った勢いで調子に乗って繰り出す猥談にそれほどの価値はない。シラフの状態で、時と場所と人を選ばず猥談を放り込めなければ、真の猥談愛好家とは言えない。例えば初対面のちょっと顔のつくりが派手な女性に、第一声で「デリヘル嬢ですか?」と名刺代わりの一発を放ったり、深刻な会議中に真顔で発言権を獲得し、「えー、続いて陥没乳首に対する対応としましては」と意見したりした場合などがそれに相当する。早い話、損得勘定抜きで放つ猥談にこそ真の輝きがあると思うのだ。

 この歳で猥談ばかり話してると、「オヤジ臭い」と揶揄されることも多いが、どうか見損なわないでもらいたい。自分は幼少期から現在に至るまで、不退転の覚悟で現役猥談アスリートを志す武士(もののふ)。そこらへんのぽっと出の猥談好きと一緒にされては心外なのである。

週刊朝日 2012年10月19日号