ゆずやいきものがかりなど、いまをときめくアーティストたちの作品を手がけている音楽プロデューサーの松任谷正隆氏。今回初めて脚本と演出に挑戦する演劇には、妻・松任谷由実さんも劇中で生歌を披露する。作家の林真理子氏との対談で日本で松任谷家の夫婦生活についてにこう語った。

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松任谷:僕は妄想癖があって、今回の帝劇の芝居も妄想から生まれたストーリーだし、勘違いとも言えるんですよ。帝国劇場から話があったというだけで、「俺は芝居つくらなきゃ」と思っちゃった。でも、とんでもない勘違いで、あとで調べたら、帝劇でふつうの音楽のショーもやっているんですね。勘違いが僕の原点かもしれない。勘違いということでは、由実さんもすごいですよ。

林:ユーミンって、勘違いという言葉といちばん程遠いような気がしますけど。すごくクールだし、自分のことをすごくわかっているし、世の中のこともわかっているし…。

松任谷:そうですか。僕が見ている顔はそういう顔ではないので、「へーぇ」と思いますね。

林:家の中では、オッチョコチョイなところとか、「えっ?」と思うようなことがあるんですか。

松任谷:彼女はオッチョコチョイでできてると思っていますけど、僕は。

林:ほんとに? 想像がつかない。いつもカンペキという感じがする。

松任谷:カンペキじゃないですよ。カンペキだったら曲はできないでしょう。悩み多き人生ですよ。

週刊朝日 2012年10月12日号