一方の野手を見てみると、かなり厳しい結果と言わざるを得ない。記憶に新しいのが2018年に阪神に入団したロサリオだ。韓国では2年連続で打率3割、30本塁打、100打点をクリアし、推定年俸3億4000万円という好条件で来日したが、日本ではわずか8本塁打、40打点に終わり一年で退団となった。また来日前年にKBOで48本塁打を記録したナバーロもそのパワーを生かしきれず、チームの期待に応えることはできなかった。

 一覧で紹介した中ではカスティーヨがまずまずの成績を残してはいるものの、完全に成功したと言い切れる選手は2003年にKBOから来日して3度のホームラン王に輝いたウッズ(横浜→中日)まで遡らないと見当たらない。韓国、台湾とも極端に“打高投低”と言われており、投手のレベルが低い中で残した結果というのはやはり鵜呑みにはできないと言えるだろう。もうひとつ目立ったのが盗塁数である。ナバーロはKBOで来日前年に22盗塁、ロサリオも10盗塁をマークしているが、日本では盗塁を一つもマークすることはできなかった。台湾の4年間で49盗塁をマークしている王も昨年はわずか1盗塁に終わっている。このあたりにもNPBとKBO、CPBLの間で守備のレベル差が表れている。

 以上のことからも、現時点では韓国、台湾球界から獲得する外国人選手の成功確率は低いと言わざるを得ない。しかし冒頭で触れたサンチェス、王、そして阪神に入団したサンズ(昨年KBOの打点王)が活躍するようなことになると、また評価も変わってくるだろう。今後のアジア全体の野球界の活性化のためにも、彼らの活躍に期待したい。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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