いつも語っていたのはイヴァン・ロドリゲスのことだ。まん丸な体型から『パッジ』の愛称で呼ばれた強肩強打の名捕手であり、ゴールドグラブ賞13回というメジャー史に残るレジェンド。そのパッジのプレースタイルに影響され、ヒザをついたまま二塁送球の練習もした。
「どんな体勢からでも送球できれば大きな武器になる。まだパッジまではいかないですけどね」
練習を重ねた送球方法はその後、たびたび試合中でも見受けられた。
ダイエー時代に出場した2000年の日米野球、NPBの練習後も1人グラウンドに残ってMLBの選手を見ていた。文字通り、子どものように目を輝かせていた。
「人間ドキドキしないと成長しない。メジャーリーグはナンバーワンだと思う。そこで自分の力を試してみたいっていうのは当たり前」
常に“カッコいい”を目指す城島が海を渡るのは必然で、FA権を行使して選んだ移籍先はシアトル・マリナーズだった。
「やっぱりどの選手もレベルが違う。その中で自分が結果を出せれば最高。誰もが知っているMLBの投手とバッテリーを組めたり、対戦できる。ちょっとだけ自分が『カッコいい』と思える。それに毎日、知らないばかりで自分が成長しているのも感じる」
渡米前に宣言していたことがある。
「(今後もホークス一筋?)それはビジネスも絡むのでわかりません。日本ではお金の話をすると嫌われるけど、野球選手の評価ってお金だと思うんです。でも、これだけは言えます。たとえどこに行って野球をしようとも、最後は、引退する時は九州に帰ってきます。これだけは譲れません」
実際には阪神で現役引退となったが、それでも巡り巡って今回、大好きな九州へ戻ってきた。