■セカンドオピニオンとるべきケース

「もしかして、この脳動脈瘤は治療をしなくてもいいのではないか?」

 この疾患においてもっとも注意すべきこととして、村山医師が挙げるのが上記の判断だ。脳動脈瘤はその大きさによってリスク分類がなされている。直径5ミリ以上の場合、1年以内破裂率は2%、10ミリ以上の場合は10%などだ。そのため瘤が小さい場合、治療によって脳梗塞などの合併症が起こる確率(3%)よりも、そのままにしておいて破裂する確率のほうが低いことがある。

「どんな瘤でも治療したほうがいいとは限りません。18年には、当院で瘤が見つかった患者のうち、治療をおこなったのは3割程度でした。セカンドオピニオンを求めてくる患者さんの多くは、『他院で治療をすすめられたが、本当に治療しなければならないのか?』という悩みを抱えています」(村山医師)

 治療をすべきかどうかについては破裂率のほか、瘤の形状が不正であるかどうか、また患者の年齢から導かれる平均余命などが判断材料になる。最終的には患者自身の判断になるが、「手術をしないと危険だ」とあおり立てる医師には注意が必要だ。

「精神的ストレスは瘤の状態に影響します。『2%の確率で破裂しますよ』と言うか、『1年間で、100人中98人は大丈夫ですよ』と言うか。その小さな違いを真剣に考えている医師が望ましいでしょう」(同)

≪セカンドオピニオンをとるべきケース≫
ケース
経過観察という選択肢がない

瘤の大きさによっては、手術による合併症リスクのほうが大きい場合もある。手術をしないという選択肢を提示されない場合は注意。

ケース
高齢で、「手術したほうがいい」と言われた

破裂率と平均余命を勘案して、手術しないことを選択する患者もいる。ストレスは瘤の状態に影響するので、破裂の恐怖をあおるような医師には要注意。

■ランキングの読み方と病院選び

 週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、脳動脈瘤手術と脳血管内治療の治療数(それぞれ、内訳として破裂脳動脈瘤と未破裂脳動脈瘤の治療数)を掲載している。通常、治療数が多い病院はその疾患の治療に長けていると考えられるが、両医師は「必ずしもそうとは言えない」と口をそろえる。

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