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42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から2年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。今回は、走るチビと追う私と見守る夫をお送りする。
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いつの間にか暦の上では春。今年は暖冬だった。
1月クールのドラマのロケは、一番辛い。何がって寒さが辛い。
辛いけれど、何と今回、役柄的にセットでの撮影がほとんどで、覚悟したほどには寒い思いをせずに済んだ。そのおかげで何とか風邪を引かずにここまで乗り切れている。
朝ドラ「スカーレット」の撮影も最終段階。早くも打ち上げの日程が送られてきた。
半年に及ぶ、年をまたいだ撮影。
感無量である。
ちびは、信じられないくらい元気にこの冬を乗り切った。
去年はず~~~っと鼻水を垂らしていて、高熱を出したり嘔吐したりしたが、今年は2度ほど熱が上がっただけで、それもすぐに下がり、鼻水もほとんどなし。
一年でずいぶんと抵抗力がついたもんだ。
便秘問題は、ご飯に4割ほど「もち麦」を混ぜて食べさせるようにしてから快方に向かい始めた。色々試したけれど、ごぼうポタージュともち麦がちびには効いたようだ。
そして恐ろしいほどに体力をつけている。
試しにこないだ、ひろーーーい公園の広場に解き放ってみたところ、50メートル以上ノンストップで走って行った。
速い。もう、昔飼っていたマルチーズくらい速い。
もっと昔に飼っていた甲賀犬のゴンくらい速くなる日も近い。
思い出すなあ、ゴン。
小学校低学年の時、四日市の家で飼っていたゴン。
中型犬で、とても力が強かった。よく脱走した。
ある日、田んぼの脇道を通って下校していたら、足元を黒い弾丸のような塊が通過していった。
目にも留まらぬ速さである。
私はもしやと思い、
「ゴン!!?」
と、既に遠ざかっているその塊に呼びかけた。
遠くでピタリと立ち止まってこちらを振り返ったのは、やはりゴンだった。
首からリードをぶら下げていた。
多分、散歩中にじいちゃんの手を振り切って走って来たのだ。
「おいで!」
と手を叩くと、勢いよくこちらに突進し、飛びついてきた。