幼い頃の羽生を教えた都築章一郎コーチは、芸術性に優れたロシアのコーチを日本に招いて導入した、曲を表現して自由に滑る練習をさせている。幼少時に日本流のジャンプの指導とロシア流の音楽表現の練習を経験した羽生は、カナダの名伯楽の下でその才能を花開かせ、五輪連覇を成し遂げる。日本の誇りである羽生は、様々な国で育まれたフィギュアスケートの教えが結晶した存在ともいえるのだ。
コーチ達のフィギュアスケートへの熱意は国境を越えて世界に広がっていき、これからも優れたスケーターの名演技を生み出していく。(文・沢田聡子)
●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」