山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員
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新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(C)朝日新聞社
新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(C)朝日新聞社

 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「感染拡大が止まらない新型コロナウイルス」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

【写真】新型コロナウイルスを電子顕微鏡でみると…

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 中国湖北省の武漢市を中心に感染が拡大している新型コロナウイルスによる新型肺炎。

 昨年12月8日に武漢市で原因不明の肺炎患者が最初に報告されたこと、さらに感染者が市内の華南海鮮市場の出店者であることなどを報じられたのが昨年12月31日、流行の起源と考えられている華南海鮮市場が正式に封鎖されたのは今年の1月1日でした。

 1月23日には、人口約1100万人の都市である武漢市からほかの都市に向かう地下鉄やバス、川を渡る客船などの公共交通機関の運行を一時停止し、武漢市は事実上封鎖され、24日には1000床の臨時病院の建設が始まりました。

 WHO(世界保健機関)は、感染がほかの国でも拡大するおそれがある「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」には、現時点ではあたらないとの見解を24日に示しました。中国でのヒトからヒトへの感染は主に家族や患者の治療にあたる医療従事者にとどまっている、他の国ではヒトからヒトへの感染が確認されていないといった理由から「国際的な緊急事態にはまだなっていない」というわけです。

 しかしながら、日に日にコロナウイルスによる新型肺炎の感染は拡大の一途。すでに武漢市だけでなく、北京や上海、さらには、タイや香港、日本、米国、フランスなど中国を含め15カ国以上で確認されています。15名の医療従事者が感染し、対応にあたっていた62歳の医師が死亡した点にも注目すべきです。感染対策を徹底している医療従事者の感染や死亡は、事態の深刻さを物語っていると言えます。

 中国の国民健康委員会は28日、世界中で4,000人以上が感染し、中国では106人が死亡したと報告。日本でも国内での4人目の感染者が確認されました。(1月28日現在)

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