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今やニュースアプリとして圧倒的な地位を確立したスマートニュースですが、数年前までは認知率は低いものでした。改革のきっかけは一人のユーザーにどうやってファンになってもらうかを探し続けるスタンス。iPhoneアプリランキング100位圏外から1年でNo.1に押し上げた西口一希さんと、マーケティングのスペシャリストである足立光さんの対談を、足立さんの著書『世界的優良企業の実例に学ぶ「あなたの知らない」マーケティング大原則』から紹介。新しい便益誕生のストーリーに迫ります。
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足立:西口さんはニュースアプリ「スマートニュース」を急成長させた立役者です。どんなマーケティング戦略があったのか、また、「9セグマップ」をどう活用したのか、そのへんの話をぜひおうかがいしたいのですが。
西口:僕が2017年4月に参画した時には、スマートニュースの認知率は30%くらいしかありませんでした。競合は40%を超えていて、「Yahoo!ニュース」にいたっては80~90%でした。なので、まず認知を増やさなければいけなかったわけです。
足立:どんなものか知られてもいないのに、「使ってみて」とは訴求できませんよね。「そんなの、知らない」と言われておしまいです。
西口:ただ、すでにニュースアプリというものが存在しているというのは、世の中の大部分が知っていました。その状況で、単に「私はニュースアプリですよ」と言っても、誰もダウンロードしてくれません。スマートニュースを認知しているけれどもダウンロードしていない人も、そもそも認知していない人もそうです。なので、ニュースアプリというカテゴリーとしての便益「以外」のところで、スマートニュースを使わなければいけない理由を提供しなければいけない、と考えました。つまり、スマートニュース独自の便益(ベネフィット)を提案しなければならないということです。もちろん、単なる変なアプリでは使ってくれないし、独自性の薄いニュースアプリでは、「Yahoo!ニュースでいいよ」ということになるので、使ってくれません。
ターゲットにインタビューを重ねているうちに、最初に響いたのが、「英語のニュースを、毎日英語で読める」という機能でした。アメリカのスマートニュースですでに展開していた機能であり、アメリカでも配信をしているのはほぼスマートニュースだけだったので、日本ではこの機能はスマートニュース「だけ」が「すぐ」に実装できるわけです。外資系の人とか英語に興味のある人が「それはおもしろい」と反応したわけです。どの競合にもなかった機能なので、英語に興味のない人も「すごい、そんなの見たことない」と言ってくれました。