足立:西口さんが言っている「顧客起点」というのは、まさにそういうことですね。

西口:結局、一人のユーザーに、どうやって認知してもらって、どうやってファンになってもらうかを探し続ける、聞き続ける、洞察し続けるということですよね。足立さんも同じことをよく言っていますね。

足立:リサーチを大規模にやるというよりは、目の前にいるこの人に、何を言ったらファンになってくれるんだろうと自分なりに考えて、実際にいろんな仮説をぶつけて、その反応を見るということの繰り返し、ですよね。

西口:駅前で屋台のたこ焼き屋を自分でやっていて、お客さんが来たらいろいろ話をしますよね。「もうお帰りですか?」とか「今日はお買い物ですか?」とか。お客さんたちが普段どんな生活をしていて、雨の日はどうだとか、暑い日はどうだとか、見て聞いているうちにだいたい何をすれば効きそうか、わかるじゃないですか。普通の商売人はみんな、どんなサービスを提供したらいいかとか、どの時間帯でやったらいいかとか、お客さんの生の情報を聞きながらやっています。結局、マーケティングってそれだけのことなんです。大企業のマーケターも、駅前の屋台と同じように、シンプルにお客様のことを考え抜いて商売しましょうよ、と言いたいですね。それなのに、いろんなマーケティング手法がありすぎて、セミナーばっかり行って、オフィスで難しい話ばっかりしてるから、訳がわからなくなって、どんどんユーザーが離れていくわけです。そうではなくて、直接ユーザーに会って、「なんで、そんなに使ってくれるんですか?」と聞く。5人も聞けば、自分が何から離れてはいけないかが必ずわかるはずです。そして、ユーザーでない人の話を聞けば、今、何が足りないかが必ずわかります。認知の施策が足りないのかもしれないし、製品に何らかの足りないところがあるかもしれない。そうすると、同じ商品を他のチャネルで売る可能性が見えてきたり、まったく違う商品を作る可能性が見えてきたりするはずです。その人たちがどんな生活をしているのか、どういう人生を歩んで来ているのかから、愚直に聞いていく。その中から自分の製品・サービスに何ができるのかを考え抜くことがマーケティングだと思います。

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