写真/ばんえい十勝提供
写真/ばんえい十勝提供

 1月18日・19日に行われた大学入試センター試験を皮切りに本格受験シーズンに突入。この時期に、参考書や問題集を開いたり、速報で出される受験校の倍率を気にしたりしている場合ではない。そう、いまやるべきことは、インフルエンザなどの感染症にかからないことと、必勝祈願のみ! 受験生のみなさん、そして、それを見守る受験生の家族のみなさんに、競走馬ホクショウマサル(9歳・牝)を捧げよう! このホクショウマサル、2018年7月28日から勝ち星を重ね、今年1月6日に国内公営競馬史上最多記録更新となる30連勝を達成した。

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 今年1月6日「道新スポーツ賞ばんえい十勝金杯」に出走し優勝、30連勝し日本記録を達成したホクショウマサル。

 2018年7月28日から、ずっと勝ち続けているというのもすごいのだが、その裏に、大病を克服した秘話があった。

 教えてくれたのは、「ホクショウマサルとはデビュー前の年からの付き合い」という騎手の阿部武臣さん。

「2歳のときは一番大きいレースで勝っているし、3歳のときも重賞をとっているもともと実力のある馬でした。4歳の夏を過ぎたあたりに喉なりの病気(喘鳴症)になりました。ゼイゼイするとかそんなものじゃなくて、ヒィーヒィーといったらいいのかな、とにかく息ができない。尋常ではない鳴りなんです」

 この病気にかかる馬は少なくはないが、思いっきり走ることは困難になる。

「喉にある弁がふさがってしまう呼吸困難の状態です。競走馬としては、この病気は致命傷です。普通に生活することはできてもレースで走るとなると途中で酸欠になってしまう。なので、ホクショウマサルは牧場に下げました。手術してくれる病院がなかなかなく見つからなくて1年くらいが過ぎてしまいました。ただ、手術したからといって完治するかはわからない病気です」

 手術してくれる病院が見つからないという不幸も重なり、レース復帰までは2年5カ月の月日が流れてしまった。

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手術後、「別の馬みたいになっていた」