現在25試合のプレーとなっている八村が今月下旬に復帰となれば、シーズンで60試合以上に出場することになる。しかしその場合は、さらにアベレージを上げるだけでなく、当然ながらライバルたちのプレーも新人王レースに影響を与えることになる。
もう一つの理由がそのライバルの存在だ。シーズン前は全体1位指名を受けニューオーリンズ・ペリカンズ入りしたザイオン・ウィリアムソンが本命だったが、プレシーズンに右ひざを手術しここまでのプレーは全くなし。ようやく同22日のサンアントニオ・スパーズ戦でシーズンデビューの可能性が高まったが、このザイオンに代わるルーキーが期待通り、あるいは期待以上のプレーを見せている。
その筆頭を走っているのがメンフィス・グリズリーズのジャ・モラントだ。マレー州立大学からウィリアムソンに続く全体2位指名を受けており即戦力として期待されていたが、その下馬評の通り同16日まで35試合で平均18.0得点、6.9アシスト、3.5リバウンドをマーク。司令塔としてチームを牽引する存在となっている。
それどころか再建期にあったはずのグリズリーズは、同16日現在6連勝中で19勝22敗とし西カンファレンス8位。渡邊雄太の出場機会が少ないのは残念なところだが、このまま行けばプレーオフ出場の可能性もあり、モラントへの注目度は急騰しているのだ。
確かに現状では、八村のルーキー・オブ・ザ・イヤーの可能性は少なくなっている。しかし我々が望むことは、まずしっかり故障を完治させ一日でも早くコートに立ってもらうこと。ゴンザガ大学でレギュラーとなってからは初の長期離脱となっているが、これも一つの良い経験と捉え、復帰後はさらなる飛躍を見せて欲しい。(文・田村一人)