その日、内藤選手は膝を痛めていました。試合中盤、オカダ選手は内藤選手の怪我している足を持ち上げて、膝をマットにドスンと落とす攻撃をしました。会場の内藤ファンが一斉にブーイングです。すると白鵬関は、右手を挙げて大声で「もう一丁!!」と叫んだのです。それが聞こえたのかわかりませんが、オカダ選手、もう一度、内藤選手の膝を攻撃。そして会場大ブーイング。と、白鵬関、再び右手を挙げて「もう一丁いったれー!」と叫びました。
後ろの内藤ファンの視線は確実に僕らに刺さっています。その声が聞こえたかどうかわかりませんが、オカダ選手、もう一回攻撃しました。後ろの内藤ファンは大ブーイングです。たぶん、僕らにも。あとで聞いた話ですが、内藤ファンが後ろにいたからこそ、横綱も燃えたらしいです。
結果、最後は内藤選手が勝ち、オカダ選手は負けました。すると、白鵬関、後ろを振り向き内藤選手のファンに「おめでとうございます」と頭を下げていました。横綱はプロレスの見方もプロでした。