毛先(ヘッド)の進歩に加え、専用のアプリで磨き残しがわかるなど、さまざまな機能がついたデジタル電動歯ブラシが登場しています。従来の電動歯ブラシと比較し、より効率よく磨けるようになるのでしょうか? 高機能ゆえの盲点はあるのでしょうか? 『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか? 聞くに聞けない歯医者のギモン40』が好評発売中の歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。
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電動歯ブラシの歴史を振り返ると、最初、「毛先が自動で動く」、それだけですごいことでした。その後は年々、機能がよくなり、毛先が歯を包み込むように動くもの、音波の振動で汚れを取るもの(音波歯ブラシや超音波歯ブラシ)など、どんどん進化しています。
しかし、どんなに機能がよくなっても「ちゃんと磨けているかどうかがわからない」という課題は手磨きと同様に、残っていました。
それを克服すべく、ついに登場したのが「磨き残しを確認できる機能」がついた電動歯ブラシです。スマホに専用のアプリを入れると歯の画像が出てきます。歯ブラシからの情報をセンサーで受け取り、ブラッシングができた部分から色づけされます。ブラッシング圧が強すぎたり、動かしすぎたりする場合、これを教えてくれます。
さらに最新機種では、AI(人工知能)が搭載されている電動歯ブラシが登場しています。数千人のブラッシングデータとパターンから電動歯ブラシを使っている人の磨き方と照合することで、より正確に磨き残しを検知し、知らせてくれる仕組みです。
「磨き残しを可視化できる機能」は画期的です。目の前のスマホは洗面台の壁などに貼り付けて使いますが、これを見ながら歯ブラシを動かすので、飽きずに磨けるということもあるでしょう。
「手磨きが苦手で、嫌い」「歯科衛生士さんが指導をしてもプラークがたくさん残ってしまう」。こうした患者さんにこの最新鋭の電動歯ブラシをすすめたところ、磨き残しが大幅に改善しました。電動歯ブラシによる清掃の効果は手磨きの8倍という報告もありますし、最初に歯科医院できちんと使い方を教えてもらい、正しい方法で磨けるようになれば、電動歯ブラシは非常に有効だと思います。