定年後も働くことが豊かな人生を送る秘訣になりつつあります。現在発売中の週刊朝日MOOK『定年後のお金と暮らし2020』では、実際に新しい働き方を選択した人たちを取材。
前回の記事「あなたもマネできる! 子どもの独立で一年発起、日本語教師として月10万円を稼ぐ!」に続き、今回は、定年後に週3日勤務の条件で再就職をし、観光ガイドの仕事も開始。さらにクラウドソーシングサービスを利用するなど、空き時間でこなせる仕事を受注して時間を有効活用している人のお話です。
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大学院を卒業してから定年を迎えるまでの約36年間、大手電機メーカーでエンジニアとして働いてきた蒲谷衛一さん(63)は、人生の第2ステージで“3足のわらじ”を履く生活を楽しんでいます。
まず、蒲谷さんは定年後に古巣での再雇用を選ばず、転職に新たな活路を求めました。
「定年後も同じ会社に残ると、雇用形態が変わる一方で仕事の内容はそれまでの延長線となり、自分にとってはむしろリスクだと感じたからです。ただ、なかなか自分が望んでいる職場と巡り合えず、1年おきに転職を繰り返しました。今はようやく巡り合ったITベンチャーに勤めています。週3日勤務という条件を受け入れてもらえたこともありがたかったです」
週3日勤務を求めていたのには理由があります。定年とともに観光ガイドの仕事を始めたからです。
ツアー客などに観光名所を詳しく紹介するのがその役割で、地元・神奈川でボランティアとして活動するだけにとどまらず、協会所属のプロのガイドも務めます。ITベンチャーの仕事がオフの日は、もっぱらガイドとして活動しているのです。
「もっとも、ガイドの仕事は季節によって需要の変動が激しく、閑散期は極端に依頼が減ったり、空き時間が生じたりしがちです。こうした時間を有効活用する方法はないだろうかと考えていた矢先に、たまたまネットでクラウドワークスの存在を知って、登録することにしました」