授業が午前中のパターンでは、9時~12時30分に「1コマ45分×4」を10分の休憩を挟みながら続ける。その後も残務があり、帰路に就くのは夕刻に
授業が午前中のパターンでは、9時~12時30分に「1コマ45分×4」を10分の休憩を挟みながら続ける。その後も残務があり、帰路に就くのは夕刻に
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 定年後も働くことが豊かな人生を送る秘訣になりつつあります。現在発売中の週刊朝日MOOK『定年後のお金と暮らし2020』では、実際に新しい働き方を選択した人たちを取材。仕事の内容や収入について聞きました。

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 海外からのインバウンド(訪日旅行客)ばかりに関心が向けられがちですが、日本に長期滞在する外国人の数も一昔前と比べて大幅に増えています。そして、彼らの間では日本語をきちんと習得したいというニーズも高い。

 こうした外国人たちを指導するのが日本語教師の役割で、福井一志さん(63)も2019年の7月からこの仕事に就きました。

 現役時代の福井さんは、まったく畑違いの業界に属していました。

 大手銀行で約30年間にわたって働いた後、自分が担当していた取引先の会社から誘われて出向し、経営管理と内部監査を担当。そして2人の子どもたちが独立したのを機に一念発起。

 62歳で退職し、18年4月からヒューマンアカデミーの日本語教師養成講座を受講しました。その動機について、福井さんはこう説明します。

「高校時代に所属していたESSの顧問の先生から、『きみは教師になって母校に戻っておいで!』と誘っていただいたのに、大学卒業後は金融の道に進んでしまったことが心残りでした。一方で、私は学生時代から海外でのボランティア活動に参加したいと思ってきました。ただ、もはやこの年齢に達すると、海外に長期間にわたって赴くのは厳しいでしょう。そこで、海外から日本にやってきた人たちのお役に立てる仕事はないものかと探してみた結果、日本語教師にたどり着きました」

■テレビで授業のネタ探し、興味をもたせる工夫が必要

 日本語教師になるには、(1)大学で日本語教育を修了、(2)日本語教師養成講座の420時間コースを修了して日本語教育能力検定試験に合格、(3)通信講座などで前述の検定試験に合格という三つのルートがあります。

 福井さんはヒューマンアカデミーで1年3カ月間に及ぶ養成講座を受け、検定試験に合格。講座では日本語教育文法や言語の構造、言語と心理、教育実践といった科目とともに、世界と日本の文化についても学びました。

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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