日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、自身も1児の母である森田麻里子医師が、「帰省中の子どもの事故・ケガ」について「医見」します。
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早いもので、今年ももう年末になってしまいました。年末年始の帰省など検討されている方も多いと思いますが、普段と違う環境での子どもの事故やけがには注意したいものです。
子どもの事故やケガについては、今夏、東京都がまとめた「帰省先などの自宅とは異なる住まいでの乳幼児の危険」という調査結果があります(※1)。この調査では、東京都または近県に住んでいて、乳幼児を育てている保護者3000人を対象に、乳幼児のいない実家等への帰省の際、どんなけがや事故(危害)が起きたか、または起きそうになった(ヒヤリ・ハット)経験があるかをアンケートで聞いています。
調査結果では、56%の人がなんらかの危害やヒヤリ・ハット経験があると回答し、全体の21%の人は実際にケガなどが起きてしまったと答えています。寄せられた3904件の事例の中で、危害やヒヤリ・ハット経験が最も多かったのは1歳で1200件超、次が2歳で約1000件、その次が3歳で700件と、幼児期前半の子どもたちに特に多いことがわかりました。
自分で自由に動き回るわりには、まだ危険を察知したり避けたりする能力が未熟な年齢かもしれません。男の子の方がやんちゃなイメージですが、調査でも全体的には男の子の方がやや件数が多くなっています。危害やヒヤリ・ハットの内容としては、1~3歳は転落・やけど・転倒が第一位・二位・三位に並びますが、0歳では三位は誤飲です。
よくあるケースをみていくと、テーブルに頭をぶつける、ドアや窓に指などをはさむ、暖房器具や調理器具でのやけど、ソファーや椅子・ベッドからの転落、お風呂での溺水・転倒、玄関での転倒などがあるようです。事故やケガにはある程度のパターンがあるので、それを知っておくことも予防につながります。