「人は何のために生きるのか」「何が幸せなのか」という私の問題意識に戻ると、人は自分が望まないことを強制されていれる(と感じる)状態は幸せではありません。一方で好きな人(々)と一緒にいる、ということは生きる目的の一つだと思います。そういう点で夫婦や家族の中で強制のないコミュニケーションを維持する努力は、家族を成り立たせるためにお金を稼いだり、家事・育児をするのと同じぐらい大切なことだと考えています。
剛さんは面接の場では、欲しがっていた目の前の解決策が得られないにもかかわらず、お二人は定期的にカウンセリングを続けました。それも一つの未解決状態に耐える能力かもしれません。短期間で目に見えて関係が改善したわけではありませんが、年単位の時間をかけて、次第にお話ができるようになりました。しかし現実は、さっさと解決しないストレスに耐えかねてドロップアウトしてしまうカップルももちろん少なくないのです。(文/西澤寿樹)
※事例は、事実をもとに再構成してあります