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50年に及ぶ格闘人生を終え、ようやく手にした「何もしない毎日」に喜んでいたのも束の間、突然患った大病を乗り越えて、カムバックを果たした天龍源一郎さん。来年に迎える70歳という節目の年に向けて、いま天龍さんが伝えたいこととは? 今回は「片付け術」をテーマに、飄々と明るく、つれづれに語ります。
【天龍さん、奥さんに「よく私と一緒になれたわね」って言われるんですか?】
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最近は外出の機会も増えたね。女房や娘に付いて、以前は敬遠していたショッピングモールにも行くようになった。意外だろう? でも、特別ほしいものがあるわけじゃなくて、元来、俺は人間観察をするのが好きだから。二人には、「そんなに他人のことを気にしないでよ」って注意されるけれど、街で身体が大きい人を見かけると、「こんなに大きな身体なんだから、スポーツの道に進めば、もっと違う人生があったのに」って思うしね。何がきっかけで今の人生を送っているのかな、なんていうふうに想像を巡らせてる。
もう、職業病だよ。ちょっとガタイがいい人がいれば、「ああいう背中の筋肉は、あのトレーニングの成果だな」とか勝手に評価して。娘には口ぐせのように、「あそこの奴より俺のほうがいい身体だよな?」って聞くから煙たがられてる。「明らかに背が高い人と並ぶだけで機嫌が悪くなる」って(笑)。まあ、ショッピングモールのベンチに長時間腰掛けてるガタイのいいおじさんがいたら、俺だと思ってくれよ(笑)。
さあ、本題に入ろうか。前回に続いて、“高齢者が穏やかに過ごすための”片付け術か。要するに終活の話だな。俺はね、「終活」というものはすごく大事なことだと思う。だって、「これからの人生に向かって、踏み切る」ということだから。身の回りを整理整頓するという作業は、よく言うように、新たな意欲を自分に植え付けることにもつながるし。思い切って断捨離してリバイバルできるのなら、ぜひやってみるべきだ。自分の人生を省みながらね。まだまだ希望が持てるはずだよ。