どうにかこの状況を突破するため、野々花さんに

「学校の何が嫌なの?」
「学校行く気あるの?」
「留年になったらどうするの?」

などと聞いても、

「わからない」
「別に」

と気のない返事をされるか、無視されるだけだそうです。

 知人に相談すると、「一貫校の子がたるみがちな時期だから、もう少しねじを巻いた方がいい」という人もいれば、「少し遠くから見守ったほうがいい、子どもを信用しなよ」という意見もあり、何が正しいのかわからなくなったそうです。

 カウンセリングにおいでになった目的をお聞きすると、

「どうしたら、娘が学校に行くようになるんでしょうか」

とおっしゃいます。

 いずれにしても、仮にわが子であっても他の人間を、操作する方法はないですし、憶測で話をしても仕方がありません。そのことをお伝えすると、

「人を変えるというのが無理だというのは本を読んでわかっているんですが、変えるっていうか、ただちゃんと学校に行かないと、この先困るのは本人なんです」

と、私の話はスルーされてしまいました。ご主人のことをお伺いすると、

「夫は内心は心配しているのかもしれませんが、現実には私に任せっきりで……」

とおっしゃいます。夫は仕事ばかりで頼りにならないから、一層自分が頑張らないと、と悲壮な覚悟で頑張っておられるのかな、と思いました。

 問題があるのは、一見、学校に行けない野々花さんのように見えますし、徹子さんはそう認識しています。しかし、私にはそうは思えませんでした。

 徹子さんは表面的には齟齬なく話しているように見えますが、実質的には私の話は一切聞かず、自分の要望だけをこちらに訴えているように感じます。話す内容は常識的で、話し方もとても丁寧ですが、無言の圧を感じます。私は、自分が娘さんの立場だったら結構苦しいな、と感じました。

 そして、自分のことなのに「わからない」を押し通す野々花さんと、なんとなくこの問題から身を引いているように見える父親の「無力チーム」VS. しゃかりきに「解決」しようとしている孤高の母親という構図も気になりました。

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「説教には慣れている」娘の本音