夫婦や家族の間で問題が起きたとき「誰が悪いか」を考えるより、有用な方法があるという。カップルカウンセラーの西澤寿樹さんが夫婦間で起きがちな問題を紐解く本連載、今回は「家族システム」について解説する。
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台風19号の上陸から12日で1カ月となりました。この度の台風で被災された方には、心よりお見舞い申し上げます。
実は、私も長野県にある実家の墓が水没したと聞き、先日、掃除にいってきました。近隣の人のお話を聞くと、床下浸水で済んだ家はよい方で、少なからぬ家が床上浸水したとのことでした。氾濫した千曲川からは相当離れていて、水害に合うなんてことは想像もつかない場所だったので、自然の力の大きさにただ驚くばかりでした。
近年こうした大きな自然災害が頻発するのは、地球温暖化のせいだとして、Co2削減が大きな議論になっていますが、一方で、Co2濃度と地球温暖化の因果関係を否定する論客も相当数います。しかし、自然はそうした人間の議論や証明を待ってくれず、一方で全体のシステムのなかで最も弱いところに問題を引き起こします。今回の例でいえば、治水システム全体の中の最も弱い堤防が決壊したわけです。
実は、家族の問題にも似たところがあります。因果関係にはいろいろな見方があり、それとは別に、家族システムの中で最も弱いところに「症状」が出やすいのです。
徹子さん(仮名、40代、会社員)は高校生の娘が学校に行けなくなってしまい、どうしたらいいか、というご相談でおいでになりました。見た感じでは、仕事ができそうなやり手タイプの方です。徹子さんの心配はとても強く、スクールカウンセラーに相談したり、いろいろな本を読んで勉強されたりしていて、その熱意には頭が下がりました。
ざっくりと状況お聞きすると、一家は4人家族。上の娘は「それなりに苦労した」けれど地方の国立大学に合格して家を出たそうです。親としてちょっとほっとしたところ、下の娘の野々花さんが中3になって学校をさぼるようになったそうです。中高一貫校ですが、出席日数が足りずに留年もちらつき始めているそうです。