佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける
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※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は、オフの過ごし方について。

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 この原稿を書いている10月下旬某日、実は本当に久しぶりのオフ。地元の喫茶店で、これを書いている。

 7月下旬から舞台の稽古に入り、稽古休みの日は何らかの仕事をし、9月はまるまる舞台の本番で、休演日も何らかの仕事をしたりして、東京公演が終わったあとは大阪、福岡で公演をし、福岡で大千秋楽を終えた足でそのままフランスのカンヌへ行き、さらにその足でポーランドのワルシャワに行き、帰国した翌日に「99人の壁」の収録をして、さらにもろもろの取材や撮影を経て、ようやく今日という、夢にまで見たオフ日を迎えた。

 忙し自慢をしている訳ではない。嘘。多少はしている。させて。せめて自慢くらい、させて。休み、久しぶりなの僕。浮かれてるの僕。久しぶりの休みに、ちょっと浮かれちゃってるの僕ちん。

 50のオッサンの僕ちんが飛び出したところで、要するにお前は今回なにが書きたいんだ? なにが言いたいのかサッパリ分からない、という読者諸兄の声が聞こえてきそうだが、うん、その通りなの。分からないの僕。僕ちん、サッパリ分からないの、オフの過ごし方。

 もちろん、家族とゆっくり過ごす、というのはある。今日も溜まりに溜まった事務仕事(←結局仕事してる)を片づけたあと、自宅で息子とこま回しや腕相撲などで遊び、妻には「チューしよ」と言って断られ、そんな情報はいいんだが、とにかく、そういう時間を経て、現在この喫茶店でようやく「自分の時間」が到来した。しかし、いざ休みの日になり、「自分の時間」を持てた時、何をすればいいのか途方に暮れてしまっているのだ。

 こんな時、趣味があればなと思う。なんでもいい。趣味があれば、自分の時間でゆったりとその趣味に没頭できるだろう。しかし悲しいかな僕には本当に趣味というものが、ない。ちなみに特技はお手玉で、ジャグリングみたいにたくさんは無理だけど、お手玉3つまでなら回せるよ僕ちん。再びどうでもいい情報を挿入した上に、僕ちんの多用にそろそろ読者諸兄が怒り出す頃だろうが、とにかく僕の唯一の趣味は「晩酌」くらいしか思い付かない。

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