八尺瓊勾玉も神話に登場する神器だが、実物が剣の形代ととも宮中で保管されている(なお、現在の御所が赤坂のため剣と勾玉は御所に安置してある)。この三種を受け継ぐ儀式は、天皇の祖先とされる瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)がアマテラスから授けられた言い伝えが元となっているという。

●令和元年の大きな行事

 天皇即位の儀式の要は3つあり、ひとつは5月の「剣璽等承継の儀」、10月の「即位礼正殿の儀」、そして11月に予定されている「大嘗祭」だ。

「大嘗祭」は、一代の天皇につき一度だけ行われる祭祀で、毎年天皇が執り行う新嘗祭(収穫祭)の拡大版とも言える。すでに、大嘗宮(だいじょうきゅう)に関わるニュースや大嘗祭用の米の収穫(斎田抜穂の儀)、献上される品々などの情報が日々更新されている。いずれも国造りの神々への献上と豊作へのお礼、そして今年は新たな時代を迎える国への祈念の行事となる。

●日本に多くの神がいるのはなぜ

 以上のように、天皇陛下と全国に鎮座する神社には深い関係がある。各社に祭られる神々がそれぞれつながり、各地の言い伝えや伝説そして国民や天皇へと由縁を持っているためでもある。

 古来、日本人は各所に神を見て、八百万にも及ぶ神を崇めてきた。水や火、風や土に及ばず米や動植物、光や影にも感謝や畏怖を感じてきたのである。不思議と口伝された神々の教えには、のちの世の科学や化学で実証されてきたものも多くある。歴史の積み重ねとはそういうものなのかもしれない。

 神無月を「神の無い月」と読み替える人もいるようだが、本来は「神の月」という意味からきている。まさに10月は世界に対し、国内最高の神官が安寧を願う儀式を行うといってもよいだろう。私自身、平成の大祭をあまりはっきり覚えていない。通信網も発達した時代でもあることだし、せっかく二度目のチャンスを得たのだから、今回の儀式はしっかり記憶にとどめておきたいと思う。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)

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