現在授与が中止されているが、毎月1日(ついたち)だけに用意されていたお守りがあった(正確には今もあるのだが)。このお守りを求めて毎月1日には信じられないほどの渋滞が生じてしまった。聞くところによれば前日から待っている人もいたため道路の渋滞に拍車がかかったとも。三峯神社はこの状態を看過できず、1日だけに授与していたお守りの配布を取りやめた。昨年初夏のことである。
●ペットの同伴も禁止へ
眷属がオオカミである三峯神社は、ペット(特に犬)の祈願所としても知られている。筆者も早朝や夕方など、参拝者の少ない時間帯に飼い犬を連れた人と出会う事が時折あった。しかし、その多くはゲージに入れられていたり、他の参拝者がいるときは抱き上げられたりしていた。しかし今夏から、ペットの立ち入りが禁止されてしまったのだ(盲導犬等の介助動物は除く)。聞けば境内を散歩場と勘違いした飼い主が増え、汚物すら置いたままにして帰る人もいたのだとか。
●御朱印の始まりは?
ネットのオークションサイトでは、入手困難な御朱印やお守りなどが高値で取引されている。御朱印は、お寺(神仏習合時代であったためあるいは神社)へ納経(写経の奉納)した証として始まったと言われている。江戸時代に巡拝ブームが起こり、納経なしの御朱印が授与されるようになるのだが(宗派によっては御朱印は授与されない)、現在のような蛇腹型のものは大正時代に誕生したもので歴史としては古いものではない。とはいえ、売るために寺社の窓口に並ぶ人が誕生する時代がくるとは、神も仏も想像すらしていなかったに違いない。
いや、そうでもないか。江戸時代、偽物の仏像を作って出開帳を行い拝観料を取る輩がいたのである。写真もない時代、「これが◯◯寺の菩薩さまだ」と言われても本当かどうか確かめるすべはない。これを罰するため奉行所が定期的に仏像改(あらため)を行なっていた記録が残されている。
だが一番いいのは、神仏に不義理をした人物のその後が広く知れ渡ることだろう。それが一番の歯止めになる気がしてならない。常識やマナーに頼るより、やはり人間には「バチ」が必要なのだろうとこの頃特に思うのである。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)