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最近、神社仏閣がらみのトラブルがニュースになることが増えた。その多くは、神社やお寺が参拝者のマナーに頭を悩ませ、行事やお守りの授与などを取りやめざるをえない状況に追い込まれるパターンだ。
例えば、御朱印を書くのが遅いといって詰め寄る人物が出たり、限定の御朱印やお守りをネットで高額販売したり、境内で決められたルールを無視した挙句ペットと一緒に参拝ができなくなったりと、話を上げればキリがない。日本人はマナーがよい──と世界中で言われているそうだが、もはやそれも幻と化してしまったのか。
●各地の寺社が混雑するわけ
現在、空前の御朱印ブームである。ちょっと前まで「御朱印」という言葉さえ知らなかったような筆者の友人たちでさえ、すでに複数の集印帳を持っているという。度々「なんで集めてるの?」と聞くのだが「なんとなく」という曖昧な返事しか返ってこない。テレビの旅番組でさえ、オンエア中に出演者たちが私物である集印帳を寺・社務所に出して御朱印を書いてもらっているくらいだから推して知るべしである。これでは、各寺社が混雑するのは当然である。
●関東一のパワースポット・三峯神社とは
埼玉県秩父市に「三峯神社」という古社がある。ヤマトタケルノミコトが東征の折にこの地に国生みの神話を持つイザナギ・イザナミ両柱を祭ったことに始まる神社である。神のお遣いが狼(大神)で、江戸時代までは神仏習合の大権現さまだった。長く修験道場として信仰されてきた場所だけに、昭和14(1939)年にロープウェイ(現在は廃止)ができるまでは参拝も簡単な道のりではなかったが、現在は拝殿のかなり近くまで車で行けるように道路が整備されたため容易に行けるようになっている。
●1日守りは授与中止に
ところがこの三峯神社、ここ最近は再び参拝が難しくなってきている。あまりの人気に社殿へ向かう道が大混雑してしまい、周辺住民の生活にも影響が出ているほどだとも聞く。著名人たちが参拝する様子をテレビで報じられたからだとか、関東一のパワースポットだからとか、理由はさまざま語られているが、何よりの原因は「わたしだけでも」の気持ちを持つ人が増えたせいではないだろうか。