日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、自身も1児の母である森田麻里子医師が、「乳幼児に与えないほうがいい飲み物」について「医見」します。
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乳幼児期は、健康的な食習慣や味覚を身につけるために大事な時期です。特にアメリカでは、肥満や生活習慣病が子どもでも問題となっており、病気を予防するためにどのような食が乳幼児期に適しているのか、議論が進んできました。以前は肥満といえば脂肪が槍玉に挙げられていましたが、最近では砂糖の悪影響を指摘する声も強くなっています。
そこで先月発表されたのは、乳幼児期の飲み物についての新しいガイドラインです(※)。
食事の中でも、乳幼児期の栄養摂取で大きな割合を占めているのは飲み物です。以前からアメリカ小児学会を中心としていくつかの推奨は出されていましたが、今回のガイドラインはアメリカ栄養士会、アメリカ小児歯科学会、アメリカ小児学会、アメリカ心臓協会の専門家が合同で、改めて作成されています。そのポイントは、
1)牛乳は1歳を過ぎてから、1日にコップ2~3杯
2)フルーツジュースは1歳を過ぎてから、1日にコップ半分~1杯程度まで
3)その他の甘い飲み物、フォローアップミルクは推奨されない
というものです。なかなか厳しい基準だと感じました。日本では、アメリカほど子どもの肥満や生活習慣病が問題になっているわけではないですし、栄養摂取状況も違いますから、このガイドラインが完全に当てはまるわけではありません。しかし、日本で子育てする私達も参考にしたい点がありましたので、解説していきたいと思います。
まず、牛乳についてです。乳児に勧められる飲み物は、母乳や育児用ミルク、水で、0歳の間は牛乳を飲むことは勧められていません。貧血や消化管出血のリスクとなるためです。しかし1歳を過ぎた子では、栄養補給のため牛乳を飲むことが勧められています。