福島は第一原発だけじゃなく、被害の出ていない第二原発も廃炉にする方向で進んでいるんだけど、それにも水が必要で、時間も30~40年ぐらいかかるわけです。永遠に貯蔵できるわけじゃないから、どこかでその水を捨てなきゃいけない。その処理水を海に流すかどうか、という問題になっています。
トリチウムは自然界にあるものだし、水溶性だから海に流しちゃうと溶けちゃうんですが、もし海に流すことになったら、その前にタンクの水は安全のためにもう一度処理されます。それでもトリチウムは残っているけど、現実を言うと、世界の原発はこのトリチウムが入った液体を海に垂れ流しているんです。日本だけじゃなく、世界各地で。それが原発の仕組み。福島第一原発から海に流したところで、基本的には問題は無いんです。
ちなみに、トリチウムを海に流したときに海洋被害が出るという報告は出ていません。フェイクニュースみたいに揚げ足を取るような人もいないぐらい、ちゃんと知っている人の中では無害だとされていることなんですよね。
それなのに、どうし原田前大臣の「海に流す」発言のようなことがあると、反対が出るのか。それは風評被害という別の問題があるからです。一度汚染された水を流すことで、また「福島の海は放射能が流れている」とか変なこと言う人が出てきて、海産物を買わなくなっちゃうじゃないですか。だから漁業で生活している人は「とんでもない」ってことになるわけです。それを無くすためにもみんなが知識を持たなきゃいけないし、もし海に流すにしても、誰しもが説明できるぐらいの状態になってからじゃないと、どっちにしろ風評被害が出てしまう。だから今こそ原発のことをもう一回、学ぶべきじゃないかと思うんです。
国民全体で正しい知識を得て、いま福島の問題とされていることを日本の問題として、どうしていこうかと考えないといけないと思うんですね。いまだに「放射能がどうたら」と漠然とした話で逃げていてはいけないんですよ。
原発に賛成・反対と言っても、どっちみち水は溜まるんです! 僕は基本的には原発反対なんですが、全国の原発を廃炉にするにしても、問題は一つ一つ解決していかないといけないし、それなら日本を何のエネルギーで回していくのか、風評被害にどう立ち向かうのか、正しい知識を身につけて考えないと前に進めないと思うんですよね。原発に賛成・反対だけではもうダメだというのが現状なんです。