「例えば昨年の甲子園では一回戦から出場した金足農(秋田)は初戦から決勝まで14日間で6試合をこなさなくてはいけなかった。連投を強いられるなか、年々厳しくなっている猛暑で投手は体力を削られます。それが如実に出たのが決勝戦の対大阪桐蔭(北大阪)との試合でした」(氏原氏)

 ここまで述べたことを考えると、甲子園の決勝戦で点差がつきやすい背景には、その実力以上に投手にとって不利な環境が影響していると言えそうだ。

 今年は、岩手大会の決勝で最速163キロ右腕の大船渡・佐々木朗希投手が故障を回避するため、登板しないまま敗退して議論を呼んだ。

「大船渡の国保陽平監督はすばらしい決断をしたと思います。高野連もこれを機に大会の運営について議論を進めるはず。大船渡の判断を正しいものにするためにも、改革を期待したいです」

 高校野球は今、少しずつ変わろうとしているのかもしれない。

(AERA dot.編集部/井上啓太)

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