全国から選手があつまる甲子園では珍しい姓の球児も登場する(写真はイメージ/(c)朝日新聞社)
全国から選手があつまる甲子園では珍しい姓の球児も登場する(写真はイメージ/(c)朝日新聞社)
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 第101回全国高校野球選手権大会が開幕し、今年もどんなドラマが生まれるか大いに楽しみだが、懐かしい高校野球のニュースも求める方も少なくない。こうした要望にお応えすべく、「思い出甲子園 真夏の高校野球B級ニュース事件簿」(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、夏の選手権大会で起こった“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「甲子園の珍姓球児編」だ。

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 日本全国から球児たちが集まってくる甲子園大会は、その土地ならではの珍姓が話題になることも少なくない。甲子園で覚えた名字の知識をもとに、仕事の取引相手に「〇〇県のご出身ですか?」と尋ねたことがきっかけで、「よくご存じですね!」と意気投合するケースもある。高校野球ファンは、名字マニアでもあるのだ。

 小学生のころから約半世紀にわたる高校野球観戦歴の中で、イチ押しの珍姓は、1973年に日大一の6番レフトとして春夏連続出場をはたした四十八願(よいなら)隆である。

 センバツ2回戦の丸子実戦で7回に値千金の右中間タイムリーを放ち、1対0の勝利の立役者になったときは、朝日、毎日、読売の各紙がいずれも「四十八願(よいなら)」と読み仮名付きで記事を掲載した事実からも、全国でも屈指の難読珍姓と言えるだろう。

 ヒーローインタビューで名字について質問攻めにあい、「小さいころは、イヤな名前と思っていたけど、今はそんなことないです」と答えていた本人だが、それではなぜ「よいなら」と読むのだろうか?

 四十八願は栃木県佐野市の小字名で、もともとは黄泉野原(よみのはら)という地名だったが、この地に阿弥陀寺があったことなどから、阿弥陀如来の四十八願(しじゅうはちがん)に掛けて、「よいなら」と訛って読むようになったといわれる。発祥の地・栃木県には、約100人の四十八願さんがいる。

 数字にまつわる珍姓では、10年夏の準優勝投手・東海大相模の一二三(ひふみ)慎太の名も挙げられる。ただし、本県、兵庫県をはじめ、全国に約830人いるので、それほど珍しい名字ではない。一二三自身も父の実家は熊本県だった。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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