宮内庁から乳がんが見つかったと発表された上皇后美智子さま(C)朝日新聞社
宮内庁から乳がんが見つかったと発表された上皇后美智子さま(C)朝日新聞社
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「乳房温存術(部分切除)」では、がん周辺だけを切除し、乳房を残す(イラスト/河島正進)
「乳房温存術(部分切除)」では、がん周辺だけを切除し、乳房を残す(イラスト/河島正進)
「乳房切除(全摘)」では、がんのある側の乳房全部を切除する(イラスト/河島正進)
「乳房切除(全摘)」では、がんのある側の乳房全部を切除する(イラスト/河島正進)

 宮内庁は9日、上皇后美智子さまが左胸に乳がんが見つかったと発表した。比較的早期で、近く手術する予定という。全国がん(成人病)センター協議会加盟施設の生存率協同調査によると、乳がんの5年生存率は、早期のI期で見つかった人はほぼ100%。II期でも95%以上だ。乳がんの主な治療には「手術」「放射線治療」「薬物療法」があり、それぞれの治療を単独でおこなう場合もあるが、複数の治療を組み合わせることも多い。週刊朝日ムック「乳がんと診断されました」では、国立がん研究センター中央病院乳腺外科科長の木下貴之医師に取材しており、そのなかから、乳がん手術について紹介する。

【イラスト】がん周辺だけを切除し、乳房を残す乳房温存術(部分切除)

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 治療の基本は、乳房内や周辺のリンパ節のがんを取り除く手術だ。必要に応じては放射線をプラスして、残っているかもしれないがんをたたく。

 手術や放射線が局所的な治療であるのに対し、薬物療法は乳房以外のがん細胞も対象にした全身療法だ。乳がんは乳管内にとどまっている非浸潤がん(0期)であれば、乳房以外の臓器に遠隔転移を起こすことはないが、浸潤がんになると乳管の膜を破って、比較的早い段階でもリンパ管や血管に入って全身に流れ、遠隔転移を起こすことがある。

 乳がんと診断された時点で浸潤がんは約8割を占めており、せっかく手術や放射線で乳房内のがんを治療しても、すでに乳房の外に流れ出したがん細胞がのちに肺や肝臓などの転移となって現れることがあるのだ。そこで再発や転移を予防するため、早期であっても手術後、あるいは手術前に微小な転移をたたく薬物療法を加えることも少なくない。

 手術の方法は、がん周辺だけを切除し、乳房を残す「乳房温存術(部分切除)」と、がんのある側の乳房全部を切除する「乳房切除(全摘)」に大別される。

 乳房温存術は、がんとその周囲1~2センチを切除する。早い時期に見つかった小さながんほど、乳房温存術の対象になりやすいが、0期の非浸潤がんでも乳管の中に広がっているものなどは温存できない場合もある。CTやMRIなどの画像で得られるがんの大きさや広がり、位置などをもとに、温存術でがんを取り切れるか検討する。

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