ただ、普通の芸能人にはなかなかできないその訣別が、芸能界やマスコミにとってはただならぬ魅力を生んだ。それゆえ、復帰へのオファーはやむことなく、私生活への激しい取材攻勢が日々繰り返されることになる。特に引退後の十数年間「百恵さん」は「皇室」と並ぶ週刊誌の鉄板ネタと化していた。その結果、苛立った彼女がカメラマンを平手打ちをするようなことも起きたし、夫の三浦友和が著書『被写体』のなかで、マスコミを批判することにもつながったのである。
そんな経緯を思えば、彼女の復帰はちょっと考えられない。実際、版元も「三浦さんは、出版すなわち公人としてカムバックするわけではなく、今までどおり静かに、私人としてキルト作りを続けていくことを望んでいます」と説明している。とはいえ、今回の出版がたいへんな「歩み寄り」であることも事実だ。なにせ、約40年ぶりの出来事なのだから。そこにはやはり、なんらかの状況や心境の変化があるのだろう。そこで気になるのが、ミュージシャンをしている長男・三浦祐太朗の動向だ。
ふたりの息子、祐太朗と貴大
7月19日に「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」に出演。母親が引退コンサートの最後にステージの上に置いた「伝説のマイク」を子供時代、おもちゃがわりにしていたエピソードなどを明かした。また、8月2日には「ミュージックステーション」で母の代表曲「横須賀ストーリー」を披露。10月に発売されるニューアルバムには、これを含めた百恵ソングのカバーが3曲収録されるという。
タイミング的には、息子の音楽活動を後押しするために、母が本を出したと見ることもできる。ちなみに、三浦友和は一昨年、週刊誌のインタビューで息子たちのことをこう語っていた。
「本人には言いませんけど、心配ですよ。でも、細々でも親の手を借りずに生活しているから、いいだろうと思っています」
この「心配」は百恵さんも同じだろう。しかも祐太朗の場合、俳優になった次男・貴大に比べると、活躍具合でやや分が悪い。ドラマ、映画、CMでちょくちょく見かける弟ほどには、安定した地位を築けていない印象で「格差」を報じられたこともあった。