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「自分のチームでマネジャーとしての役割を果たすことは当然として、マネジャー自身も、上のマネジメントチームでメンバーとして果たすべき役割があります。そのレベルでの仕事こそがマネジャー自身の仕事と言えるわけです」。そう指摘するのはグーグルの元アジア・パシフィック人材開発部門ヘッド、経営コンサルタントのピョートル・フェリクス・グジバチさん(未来創造企業 プロノイア・グループ株式会社代表取締役)だ。ロングセラー『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』(朝日新聞出版)の中でも、「マネジャークラスの働き方が変わっていかないと、今後の日本企業を支える人材が育たない」と警鐘を鳴らしている。
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■グーグルでも「一匹オオカミ」はありえない
よく日本では「プレイング・マネジャー」という言い方をしますね。グーグルでもほとんどのマネジャーはプレイング・マネジャーなのですが、日本のそれとは意味合いが違います。日本の会社のように自分のチームの日常の業務(Daily job)をやるというのは、ほとんどありません。
グーグルでは、たとえば5人の部下がいるマネジャーの同僚というのは、隣のチームの5人の部下がいるマネジャーです。つまり、同じファンクション(役割、職務)で違うロケーション(場所)のマネジャー。そのマネジャー5人がメンバーになって、一つのチームとして動いていくわけです。そうした構造はトップまで同じです。要するに、個人主義に徹しているように見えるグーグルでも「一匹オオカミ」はありえません。一匹オオカミ的に働く人の評価は極めて低いのです。
つまり、同じレベルのマネジャー同士が仲よくして、チームとしてのコンセンサス(合意)を取って、一緒にアウトプットを生み出すわけです。当然ながら、マネジャー自身のOKR(目標と主な結果:Objective and Key Result)や20%ルール(グーグルには「20%ルール」というのがあって、自分の仕事以外のプロジェクトにも契約時間の20%以内なら自由に参加することができます)などもこのレベルで行います。