13分の中断後、騒動のきっかけをつくった吉原とハウエルの2人に退場が宣告され、試合再開となったが、それから約3カ月後の9月19日、両チームは再び乱闘を繰り広げることになる。

 “富山事件”の再現のような乱闘騒ぎが起きたのは8回。8点をリードされたヤクルトは先頭の代打・金森栄治が橋本清から背中に死球を受けると、マウンドをにらみつけ、「(その腕を)へし折ってやるぞ!」と威嚇のポーズを取った。

 直後、ベンチから堀内恒夫投手コーチが飛び出し、金森のヘルメットを奪い取ったのを合図に、両軍ナインによる乱闘が始まった。

 ヤクルトの伊勢孝夫コーチがハドラーとともに堀内コーチに襲いかかる。堀内コーチのメガネが吹っ飛び、ユニホームもハドラーの怪力によって、ビリビリに引き裂かれてしまう。

 なぜ堀内コーチが標的になったのか?実は、これにも伏線があった。前日の試合で、4点をリードされた9回に堀内コーチが木田優夫を投入した場面で、ベンチから金森が「堀内!あれ?こんなところで、何で出てくるんだ?」とヤジったことが、きっかけだった。

 年下の金森から呼び捨てにされたことに立腹した堀内コーチは、翌日の試合前、投手陣に「あんなヤジは慎め(言わせるな)」と檄を飛ばしたという。

 こんないきさつもあって、この日は1回2死に古田が胸元を攻められ、7回にもハウエルが左肩に死球。その裏、元木大介が本塁をついた際に古田に危険なタックルをするなど、不穏な空気が漂っていた。そして、金森への死球で一気に爆発する。

 その金森は「選手に怒ってるんじゃない。上がやらせてんでしょ。橋本は(PL学園の)後輩だしね」と前日のヤジに対する報復と確信している様子がありあり。野村監督も「どう見ても故意」と憤慨した。

 一方、堀内コーチは「大人(先輩)をなめるんじゃない。橋本はその金森が出て来たから、力が入り過ぎて、すっぽ抜けたんだろう」と故意死球を否定。結局、長嶋監督が「ヤクルトにはこれから大事なこと(リーグ2連覇)が控えてるから、トラブルはダメだ」と仲裁役になる形で、事を収めた。

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長嶋監督も「目には目をです」