以前、ある取材でも答えたことがあるのですが、僕にはどうしても、「威厳のある父親」を演じるのは無理なようで。いかにプロの役者とはいえ、これだけはどうやら無理なようで。だから、できることと言えば、世の親御さんがお子さんに対してそうであるのと同じように、息子をたくさん愛することだけだと思っています。いや決して良さげなことを言おうとしてるんではなく、ん? 少しは言おうとしてるのかな俺? いやいや、やはり「たくさん愛する」、これしか自分にはできないと思っとります。

 以前、ある一般の方のツイートで知った話なのですが、震災で幼い娘さんを亡くしたご夫婦に、数年後に娘さんが生まれたというドキュメンタリーがあったそうです。そしてインタビュアーの方の「娘さんにはどんな風に育ってほしいですか?」との問いに、お父さんは、こう答えたそうです。

「おばあちゃんになって欲しい。ただそれだけ」

 本当に、そう思います。(文/佐藤二朗)

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?