理不尽なことがまかり通る現実社会。正義が勝つ、ことが当たり前ではない日常だから、こういう試合が人気を得たのだろう。大団円の結末は胸をスカッとさせてくれた。それが時代を越えて今まで語り継がれている。阿部四郎はその中にいて抜群の働きをした、間違いなく最優秀助演男優だ。

 再び、激動の時代。平成から令和のリアルな世界は、受け入れ難いことが多い。そんな時代だからこそ、ある意味ファンタジー、浮世離れしたプロレス人気が復活している理由とも考える。そこでは、かつてのいわゆるベタでコテコテの勧善懲悪ものが、再び脚光を浴びるかもしれない。(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫/スポーツスペクテイター。1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌「Ballpark Time!」を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍やホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!オフィシャルページにて取材日記を不定期に更新中。

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