春季キャンプ中にファンと接触したことが原因で右肩を痛め、いまだ二軍調整が続いている松坂大輔(中日)。先月中旬にはチームの練習日にゴルフをしていたことが発覚し週刊誌を賑わすなど、今シーズンはプレー以外の面で話題となっている。そんな松坂だが5月28日にウエスタンでのソフトバンク戦で復帰を果たし、2回をパーフェクト、3奪三振と好投。今月14日の阪神との二軍戦でも4回を投げて1失点と試合を作り、ここへ来てようやく一軍復帰への期待が高まってきた。
しかしその一方で中日のチーム状況を見ると、そう簡単に松坂を復帰させられるのかという問題が生じている。一つは現在の先発ローテーション事情だ。ここまで開幕からローテーションを守り、規定投球回数に到達しているのは柳裕也と大野雄大の二人。三番手のロメロまでかろうじて計算できるという陣容である。先発投手が試合を作ることの指標として6回を自責点3以内に抑える『クオリティ・スタート(QS)』という基準があるが、中日はチーム全体のQS28のうち、実に22をこの3人が記録しており(柳:8、大野:8、ロメロ:6)、4番目に多いのがルーキーの勝野昌慶の2という数字なのだ。3番手までの先発と4番手以降でここまで大きく差がついているのはセ・リーグでは中日だけである。また柳と大野はそれなりにイニング数を稼いでいるが、ロメロはここまで先発した試合の平均登板イニングは6回をわずかに上回る程度。それに次ぐ先発陣の山井大介、清水達也、阿知羅拓馬、笠原祥太郎は平均5回ほどしか投げられていないのが現状である。
先発が長いイニングを投げられなければ当然リリーフにそのしわ寄せが来るのは当然である。そしてそのリリーフ陣も日に日に成績を落としているのだ。抑えの鈴木博志は現在リーグトップの14セーブをマークしているが防御率4点台と不安定な投球が続いて二軍調整中。代わりに抑えを任せられたR.マルティネスはここ2試合続けてリリーフに失敗して負け投手となっている。セットアッパーのロドリゲスがかろうじて防御率2点台はキープしているものの、6月に入って2度の救援失敗を喫するなど調子は下降気味だ。