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「おや?」と思って立ち止まる。そしてはじまる旅の迷路――。バックパッカーの神様とも呼ばれる、旅行作家・下川裕治氏が、世界を歩き、食べ、見て、乗って悩む謎解き連載「旅をせんとや生まれけむ」。第2回は台湾で出会った「」について。
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東京人が大阪人を揶揄する話に、お好み焼き定食がある。お好み焼きをおかずにご飯を食べる大阪人は信じれれない……と。糖質に糖質おかず。糖質ダイエットの風潮がそこに拍車をかける。
糖質に糖質という食べ物に抵抗感がある人もいる。
「焼きそばパンはルール違反じゃないか」
そういう人たちが、台湾の路上で、このパンに出合ったら、どう反応するのだろうか。
焼餅油條──。薄餅油條とメニューに書く店もある。台湾の人々の定番朝食のひとつでもある。
焼餅油條はいたってシンプル。焼餅で油條を挟んでいる。焼餅というのは、焼パンということになるが、店頭の鉄板で焼いている。パリッとした、少しパイに似た触感のパンだ。
油條は中国や東南アジアではよく見かける棒状の揚げパン。タイではバートンコーと呼ばれ、長さは数センチの小型だが、台湾や中国のそれは、長さが20~30センチはある。人によっては、これをお粥や豆乳に浸して食べる。ミャンマーではミルクティーに浸す定番朝食である。