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ひきこもり状態だった51歳の男が20人を殺傷した事件と、元農林水産事務次官の男(76)がひきこもりだった40代の長男殺害する事件。2つの事件をきっかけに中高年のひきこもりに注目が集まっている。お笑い芸人のカンニング竹山さんは、「人を孤独にしない社会にしなきゃいけない」と警鐘を鳴らす。その策とは?
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ひきこもりをひとくくりにして、偏見を助長するような報道をしないでほしいと支援団体などが声明を出していますが、僕は10代とか親の扶養に入っている未成年のひきこもりと、30~50代の中高年のひきこもりは分けて考えなきゃいけないのかなと思っています。
若いときって思春期でもあるし、人間としての成長途中だからいろんなことに悩むじゃないですか。誰か大人が楽しいことを教えてあげたり、外に出られるような手助けや気づきを与えられたら、ある程度の人が回復していくんじゃないかと思うんですよね。
だけど、その状態が続いて大人になってくると、考え方も固まって、そこから新しい価値観はなかなか受け入れられなくなるし、外に出ている人よりも精神疾患とか病気にもなりやすくなるんじゃないかと思う。一方で、国の調査で中高年のひきこもり(40~64歳)が61万人もいるっていうデータが初めて出ましたが、その人たちがコミュニティーと関わるための活動を誰かがやらなきゃいけないと思うんですよね。家族だけで対応するんじゃなくて、国も含めて、緊急対策の組織をつくっていかないとダメだと思います。
僕も50代のひきこもりの人と仕事をしたことがあって、その人は大学受験に失敗したのがきっかけだったんですが、持病もあって余計に外に出るのが難しかったんですよね。でも話をしてみると、甘いよなと感じるところもありました。当時は高齢のお母さんと2人暮らしでしたが、そのお母さんも子どもの言うことを何でも「はいはい」と受け入れているようなところがありました。もちろん生活の全てを見たわけじゃないからわからないけど、例えば、部屋で飯を食うことも、僕ならありえないと思うし「部屋で食うなら食べなさんな!」って言うと思う。そういう厳しさも多少は必要なのかなと思うんですよね。