今回は、20年以上前から私が指導している「ペアレント・トレーニング」の方法をお伝えします。これは発達障害の子どもを持つ親のためにアメリカで開発されたもので、現在、日本では児童虐待によって分離された親子を再統合するプログラムでも活用されています。基本的には2週間に1回、全10回の講座で、その内容は発達に凸凹のある子の親だけでなく、なんとなく子育てがうまくいかないと感じてる人にも役立つ方法です。

■ステップ1 行動を3つに分ける

 ペアレント・トレーニング講座で最初に取り組むのは、子どもの行動を「好ましい(増やしたい)行動」と「好ましくない(減らしたい)行動」、「許しがたい(なくしたい)行動」の3つに分けることです。

「え? それだけですか?」と拍子抜けする方もいますが、実はこれがとても大事なのです。冒頭のケースで言うと、親がどうにかしたいと思っているのは、ユーチューブを自分でやめらないことなのでしょうか? こちらの指示を聞かないこと、もしくは「うるせえ!」という言葉なのかもしれません。2、3日のことを振り返って、書き出してみましょう。グループでやるとそれぞれの家庭のカラーが出て新しい発見があるのですが、夫婦でやっても違うはずです。

 ある母親は書き出した後、「これは自分の価値観だ」と言いました。そうなんです。子どもの言動の何を好ましい、好ましくないと感じるかは、すべて親の価値観であり、自分が受けた教育や社会の影響を受けています。そこに正しい・間違っているという基準はありません。それに気がつくと、少し心に余裕が生まれると思います。

 そして「反抗的」「悪い子」と思っていた子でも、同時に良い行動もしていることがわかります。また、子どものどんな行動にフォーカスして対応していくかを絞れるようにもなるのです。

■ステップ2 好ましい行動をほめる

 困っている親にとって、最初に手を付けたいと思うのは「許しがたい行動」でしょう。でも、それでは親子関係がこじれてしまう危険性があります。忘れないでください! まずは「好ましい行動」から進めるのが、一番の近道です。

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最初は演技でOK 「ほめてばかりだと良くない」は本当?