「空気ぶくぶくするやつとか買ってさ、お世話したわけ」

 ってことは……カエルになったんだ。

「ヒキガエルだったよね」

 山田さんどうした? え、これトラップ? 山田さんのトラップ?

「でも俺はコオロギあげたりして育てたわけ」

 よかったよ。皆殺しにしたのかと思ったよ。

「何匹、カエルになったの?」
「10匹くらいかな」

 うえええええ!!

「でもさ、みんな長生きしなかったよ」

 なんなんだ、この何ともいえない話。

 で、結局、夫は、

「我が子に命の大切さと悲しみを知って欲しい」

 と言う。

 自分はカエルが死ぬたびに落ち込み、悲しかったけれど、えいやっと気持ちを切り替えて、

「ま、いっか!」

 と乗り越えて来た、と。

 だからハムスターを飼いたい、と。

 じゃあ、まずカエルでいいじゃないかと思ったが、私に断固拒否されると思ったのだろうと推察する。

 もちろん拒否! カエルは拒否!

 ハムスターは……。

 もうちょっと考えさせてもらいたい。

 ただ、これだけははっきり言える。

 ハムちゃんがその生涯を全うし、天に召された時、一番落ち込んで号泣するのは夫だろう。

 チビに「よしよし」と慰められている夫の姿が眼に浮かぶ。

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