「何飼ってたの??」
話がホラーの方向に進みはじめた。
夫の以前住んでいた家は、資料やら服やらで、足の踏場もないほどぎっしりなワンルームで、とても犬や猫を飼えるような環境ではない。
水槽なんかも置いてあった記憶がない。
あの部屋で一人、いったい何を飼い、葬ったのだ! いっぱい!
「え?」
と言いよどむ夫。「よけいなことを言っちまった」という顔で。
ハムスター飼いたさに、よけいなカミングアウトをしたのに違いない。
「何を埋めたのよ!」
私は恐怖に少し顔が引きつっていたかもしれない。
「ある日、駅から歩いて帰っていたら……」
夫が話しはじめた。
え? 何、この意外な導入部。
「お祭りで金魚すくいしたら、意外とすくっちゃってさあ」
とか、そういうのを予想してたんだけど。
ちなみに私は、中学生の時にヒヨコ釣りで2匹釣れて、ヨシコとマコトと名付けて飼いはじめたら2匹とも立派に育って、毎朝、コケコッココケコッコすごい声で鳴くもんだから、困って学校に相談して学校の飼育小屋で飼ってもらえることになった、という経験があるけども。
「ある家の前に、『ご自由にどうぞ』って……」
え? なにそれ、やっぱり子猫とか子犬?そのお家で産まれちゃって、飼えないから箱に入れて? ひどい! ちゃんと避妊手術するとか、飼い主の責任で管理してほしい。