都立駒込病院放射線診療科治療部部長の唐澤克之医師。背景は放射線治療装置の「VERO-4DRT(ヴェロ)」(撮影/白石圭)
都立駒込病院放射線診療科治療部部長の唐澤克之医師。背景は放射線治療装置の「VERO-4DRT(ヴェロ)」(撮影/白石圭)
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放射線治療装置の「トモセラピー」。筒状の部分が患者の周りを回転しながらあらゆる角度で細いビームを照射する(撮影/白石圭)
放射線治療装置の「トモセラピー」。筒状の部分が患者の周りを回転しながらあらゆる角度で細いビームを照射する(撮影/白石圭)

 窪田正孝・本田翼主演の月9ドラマ「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」が4月から放送されている。放射線技師と放射線科医による撮影・診断をテーマとしたドラマだが、それは放射線科の仕事の一部分。診断だけではなく、放射線を使って治療を行っている放射線科も存在する。そこで都立駒込病院放射線診療科治療部部長・唐澤克之医師に、がん放射線治療の様子をうかがった。

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 ドラマ「ラジエーションハウス」で放射線科医らの画像診断を中心にストーリーが展開されている一方で、現実社会では放射線科医は、診断だけでなく放射線を利用してがん治療をおこない、日々患者を救っている。今回取材した都立駒込病院放射線診療科は「診断部」と「治療部」のふたつにわかれている。

 放射線治療は、手術、抗がん剤などの薬物療法と並ぶ、代表的な“がん”治療のひとつだ。身体を切開する手術や、副作用のある薬物療法とちがい、患者への負担が少ない「低侵襲性」が特徴として挙げられる。治療のために入院する必要もない。

 放射線治療は科学技術の粋を結集した最先端の治療だと唐澤医師は言う。

「ここ10年間は、まず医療装置の発展があって、そのあと人が技術を使いこなすという流れですね」(唐澤医師)

 たとえばCT検査。昔は画像を1枚撮影するのに20秒以上を要した。いまではほぼ一瞬で撮影と現像が終わる。人間の体は動くものなので、撮影に時間がかかると治療にも困難が生じる。撮影時のがんの位置が、撮影後にずれることもあるからだ。そのため撮影技術の向上は、そのまま治療の向上につながっている。

「いまは放射線治療装置じたいにもCT検査の機能がついているんですよ。治療の直前に撮影して、患者の位置や照射角度を決めます。事前に立てた詳細な治療計画が、本当にこのままでうまくいくのかを確認し、補正しています」(同)

 さらに、がんの様子がリアルタイムでわかるように、撮影と治療を同時に行う技術もある。たとえば肺がんの場合、呼吸によって腫瘍はつねに動くため、CTで動きに合わせて動的な画像を撮る。これを4D-CT(3次元+時間軸で4DのCT)という。呼吸による移動に合わせて放射線を照射する装置(VERO-4DRT<ヴェロ>)も開発されている。動体追尾照射といって、これも不要な被ばくを減らすための技術だ。

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コンマ数ミリ単位の治療