
慢性腎臓病は、気づかないうちに進行し、体調に変化が現れて病院を受診したときには、すでに人工透析が必要な状態にまで悪化しているということも珍しくありません。腎臓病患者が、腎臓の機能をなるべく落とさないようにするには、どんな生活したらいいのでしょうか。週刊朝日ムック『「このままだと人工透析です」と言われたら読む腎臓病の本』では、中島土谷クリニック院長の森石みさき医師と土谷総合病院副院長の川西秀樹医師に聞いてみました。Q&A形式で紹介します。
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Q:ストレスや睡眠不足は、腎機能に悪い?
A:ストレスはリスクに。睡眠は質が重要
ストレスは血管を縮めて腎臓の血流を悪くし、腎障害を起こすといわれています。また腎機能だけでなく、心疾患や脳血管疾患などさまざまな病気のリスク要因になると考えられているので、なるべくストレスの少ない生活をするよう心がけます。睡眠については、CKDの進行と睡眠時間の関連を調べた新しい論文で、睡眠時間が6~7時間の人に比べ、5時間以下でも8時間以上でもリスクが高まるという結果が出ています。睡眠不足や睡眠過多にならない、適度な睡眠時間を心がけるとよいでしょう。また、睡眠の質も大切です。就寝の90分前に入浴する、足湯をする、部屋を快適な温度にしておく、寝る前にスマートホンやパソコンを見ないなど、普段から心地よく入眠できる環境を整え、習慣にすることが大切です。
Q:お酒は腎機能を悪くする?飲むならどの種類?
A:飲んでもOK。ただし飲みすぎは厳禁
お酒は飲んでもよいですが、適度な分量でとどめること。節度ある適切な飲酒量は、エタノールにして1日20グラム(ビールで小瓶1本、日本酒で1合程度)とされていますが、慢性腎臓病(CKD)や糖尿病などリスクの高い人は20グラムでも多いくらいなので、必ずこれ以下に。日本酒はカロリーが高いことに注意、また、ビール(発泡酒)にはカリウムやリン、ワインにもカリウムが含まれています。ビールは味が濃くうまみが強いものほど、カリウムとリンの含有量も多いので注意が必要です。水分制限をしている人は、ビール1缶で350ミリリットルといったように飲んだぶんを水分としてカウントします。乾き物をつまみにする場合、スナック類は塩分が強く、ビーフジャーキーやさきいかにはリンも多く含まれているので食べすぎないようにします。