裕也さんはたぶん僕のことを覚えていないと思いますけど、笑いながら「お前、最近ワーワー言ってんな!」と昔、声をかけてもらいました。

 裕也さんやハマコー(浜田幸一)さんもそうだったけど、怒らせたら生放送でも構わず帰っちゃうだろうし、殴られるかもしれないって思うような、昔の僕らが見てきた華々しい芸能界の人たちが少なくなってしまいましたね。それこそ野坂昭如さんが大島渚さんをぶん殴るみたいなことも昔はあったわけで、こういうおじいちゃんはもう出てこないのかなーと思うと寂しい気持ちです。

 それに、裕也さんを見ていると、自分のちっぽけさを感じるんですよね。勝手に離婚届を出した話は有名だけど、サングラス姿で記者会見をしていた裕也さんはまだ41歳なんですよ。記者に「ロックだからよ!」って言っていたのが41歳と考えると、俺はちっちぇーなと思いますね。

 当時だって、50代、60代の芸能界の先輩たちはいっぱいいただろうし、中には「内田裕也は生意気だ」と思っている人だっていたと思うんですよ。それでも僕らには内田裕也さんが一番偉い人に見えていたから、41でもう根性というか覚悟が決まってたんでしょうね。

 僕だってあの年齢になれば、記者に「あのよー!」とか言えるのかと当時は思っていましたけど、全然、無理だな。僕だったら「ちょっとこれ(離婚届)出しちゃったんですよね、すみません」とか言っちゃいそう(笑)

 平成の終わりに、昭和から平成と暴れてきたインパクトの強い人たちが去ってしまって、ああ今なんだなと感じます。寂しさもあり、こういう人がいなくなってしまう時代なのかという気持ちもあり。いまはロックンローラーでも、意外と家庭はしっかりしている時代ですからね。

 いつも「ロケンロール!」っておっしゃっていましたけど、結局「シェケナベイベー」って一体何だったんだ?(笑) わからないまま亡くなってしまったけど、あの破天荒さにどこか憧れている自分もいるんですよね。あの方は本物の破天荒でしたから。ご冥福をお祈りします。

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カンニング竹山

カンニング竹山

カンニング竹山/1971年、福岡県生まれ。お笑い芸人。本名は竹山隆範(たけやま・たかのり)。2004年にお笑いコンビ「カンニング」として初めて全国放送のお笑い番組に出演。「キレ芸」でブレイクし、その後は役者としても活躍。現在はお笑いやバラエティー番組のほか、全国放送のワイドショーでも週3本のレギュラーを持つ。単独ライブ 「放送禁止2017」が9月21~24日、東京・品川の天王洲銀河劇場で開催(撮影/写真部・小原雄輝)

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