
目指す「型」が、はっきりと見えた。
3回2死一塁。
塁上には金子侑司。打席には秋山翔吾。
このシチュエーションが、相手にとってはものすごく、困るというのだ。
「浅村が抜けても、なんだかんだといって、ランナーを還せるバッターが後ろにいるんですよ。そこで金子でしょ? ポンと1本出れば、一塁からでもホームへ帰って来られる。得点力、上がりますよ。これが機能したら、面倒くさいことになりますね」
そう分析したのは、ネット裏から「今季の西武」に、厳しい視線を送り続けていた楽天の小池均スコアラーだった。昨季の打点王・浅村栄斗を西武から奪ったその楽天が“浅村不在”の新オーダーに、早くも警戒心を強めているのだ。
2019年型の「新・レオ打線」が“初披露”されたのは、2月23日に高知・春野で行われたロッテとの練習試合だった。
1番に金子侑、3番に秋山を起用。これは優勝した昨季には一度もなかった組み合わせになる。しかも、秋山は昨季、CSファイナルステージでの5試合を含めた全148試合中、141試合で1番を務め、残る7試合は2番。3番は、148試合中、147試合を浅村が務めていたのだ。
金子侑は3年前の盗塁王。そのスピードと守備範囲の広さには定評があるが、問題は打力。昨季の打率は・223。ただ一昨年には・272、盗塁王を獲得した16年にも・265を記録しており、1番打者となれば、最低でもこの水準を取り戻すことが急務。それでも「金子が1番を打ってくれたら、足を生かせるし、相手もイヤでしょ?」と辻発彦監督。つまり、浅村が抜けた中で、得点率を上げるために、金子侑の「足」をフルに活用する新オーダーを組みたいというわけだ。
その狙いが、いきなりはまった。
3回1死無走者で、金子侑の第2打席。マウンドには、ロッテの勝ちパターンの中継ぎ右腕・益田直也がいた。その6球目は143キロのストレート。打球が二塁ベース付近に飛んだ。俊足を生かして、内野ゴロをセーフに変えてしまった。これが、金子侑の最大の魅力でもある。