ソフトバンク・内川聖一 (c)朝日新聞社
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 元気に登場したからこそ、その存在感が際立った。やはり今のソフトバンクにとって、この2人は「不可欠の戦力」であることが明確になったとも言える。

 2月16日、宮崎キャンプ。

 1軍中心のA組が今キャンプ初の紅白戦を行った。その2日前に柳田悠岐が右太もも裏を痛めて別メニュー調整中。さらに16日には上林誠知が右臀部周辺の張りを訴え、紅白戦出場を回避。そんな中で、ベテラン2人は紅白戦初戦から中軸を担った。

紅組4番 36歳・内川聖一
紅組5番 35歳・松田宣浩

 2月中旬。この年齢と実績、そして2人くらいの『顔』があれば、まだ紅白戦に出る必要もない時期だろう。若手が紅白戦を行っている横で個人練習をしても、あるいは宿舎で静養しても、誰もとがめたりしない。

 それでも、出る。

 内川は2打席無安打。3年目で生き残りをかける右腕・田中正義に3球三振を喫したものの「いい球だったね。2球目、あそこでカットボールが来るとは、ちょっと予想できなかったし」と振り返るなど余裕の表情。松田は2年目の左腕・大竹耕太郎から左前打を放って“2019年初ヒット”をマークするなど、三塁手として6イニング制の紅白戦をフル出場。試合後には新任の本多雄一・1軍内野守備走塁コーチのノックを内川とともに受けると、休む間もなく今度はメーン球場でたった一人、ロングティー打撃に励むというパワフルさ。2月の宮崎でも「熱男」ぶりを存分に発揮している。

 昨季、内川は通算2千安打に到達も、8月中旬に疲労性の体調不良で2軍落ち。1軍復帰を果たしたのは、10月の西武とのCSファイナルステージからだった。松田も4年連続で全試合出場を果たしながらも、打撃不振からCSと日本シリーズではスタメンを外れる試合もあった。

 それだけに、今季にかける2人の闘志と執念には並々ならぬものがあるようだ。自らの地位に安住せず、もう一度自らを鍛え、カツを入れ、レギュラーの座を揺るぎないものにしようとしている。油断を見せない2人の姿を見るにつけ、ソフトバンクの強さを改めて実感させられる。

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待ち望まれる将来の右の主軸