稽古期間中であれば、まだ、「本番中じゃなくてよかったね」となる。

 それにしても稽古のスケジュールがずれたり、代役を立てることになったり、共演者が皆、「うつされてないか?」とビクビクするはめになる。

 何より、どんな顔して復帰すればいいのか! 肩身がせまいせまいせまい!

 だから、稽古の1カ月、そして公演期間中の役者は細心の注意を払うのだ。

 それでもこないだ、夫の出演中の舞台のカンパニーから、稽古中に感染者が出た。

 どんなに気を付けていても抵抗力が落ちたらどうしようもない時もあるのだ。

 マスクつけたまま稽古はできないし。

 夫はウイルスを家に持ち込んでは大変と、帰宅したらすぐに着替えて、手洗いうがいをしてから、チビを抱っこしていた。

 ドラマや映画の撮影期間中でも、撮影のスケジュールを変更させる事態になるのは避けたい。

 みな、「明日は我が身」と思いながらも、自分に実害がふりかかれば、心のどこかで、

「あいつのせいで……」

 とよぎるのが人間ってもんだろう。

 思われたくない、

「あいつのせいで……」

 って!

次のページ
一番怖いのはチビがかかること…