一番大事なのは、作ったものを見てもらうことなんだから。見られなかったら意味がないわけじゃないですか。どうしたらもっと見てもらえるかを考えるべきなんですよ。もちろん一企業として儲けや利権も大事だろうけれど、もっと柔軟性を持って、本当に視聴者が喜ぶテレビってなんだろうって考えないといけない時代だと思うんですよね。
それを感じたのは、ちょっと前に「世界の果てまでイッテQ」(日本テレビ)のやらせ疑惑のとき。『グッディ!』(フジテレビ)がパネルをつくって、熱心に報じたことがあったんですよね。僕はその回に出ていなかったんだけど、世間の評判は良くなかった。結構な人が『グッディ!』に違和感を持ったわけです。
本当はそこで、スタジオの誰かが「うちだってこういうことあるよね」って方向を修正していたら、評価は変わったと思う。同じ業界内でライバル他社の非を責めても、いまの視聴者は日テレだからとか、フジテレビだからって意識してない。ひとくくりで「テレビ」としか思っていないんです。だから、仲間を責めてダサいって映るわけです。時代は変わったなと思いました。
娯楽といえばテレビだったのが、ネットができてかなり変わった。それなら、お互いにウィン・ウィンになるような新しいビジネスモデルを考えないといけないですよね。自社コンテンツを囲うんじゃなくて、視聴者が驚くような垣根を超えたコラボをしたり、いい意味で見る人を戸惑わせていくような新しいことがもっと進んでほしい。
僕が小さい頃、お正月だけウルトラマンと仮面ライダーに別の番組のキャラが出てきて、度肝を抜かれたんですが、そういうワクワク感がほしいですよね。
やっぱりテレビ局には「わが社」より視聴者のことを考えてほしい! だから各社の独自配信アプリをやめてみるのもひとつの考えかもです。