社会保障費の増大や個人の介護費用の負担増といった問題が顕在化した現代日本。かつては世界に誇るべき「長寿大国」という言葉にも、今やネガティブなイメージすら付きまとうようになった。
【健康増進型保険を一足早く販売した健康年齢少額短期保険の大橋宏次社長】
背景には、日本人の「平均寿命」と「健康寿命」の乖離がある。
2016年の『平成28年版厚生労働白書』によると、平均寿命(0歳から死亡するまでの平均余命)と健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されずに生きられる期間)の差は約10年。つまり日本人は健康を損ない、自立した生活がままならなくなってからが長い。そして、それが昨今の社会課題の要因の一つとなっているのだ。
そんな我が国で、今急速にその注目度を高め、各社がこぞって商品を展開し始めているのが、「健康」をキーワードにした「健康増進型保険」である。最近ではがん保険市場でトップのアフラックまでもが同種の商品「健康応援医療保険」の提供をスタート。俳優・田中圭やアイドルの橋本環奈など健康的なイメージの芸能人を起用したCMも話題だ。
健康増進型保険は簡単に言うと、健康であればあるほど契約者が何らかのメリットを享受できる保険である。例えば、健康なほど保険料が安くなったり、還付金がもらえたり、お得なサービスを受けることができる。もちろん保険会社サイドも、契約者が病気になることなく健康でいれば保険金を支払う必要もなくなるため、両者WIN-WINの関係が成立するのだ。
■課題は「健康年齢(R)」の認知度の低さ?
大手保険会社が続々と健康増進型保険を展開し始めたのは昨年に入ってからのことだが、実はこうした類の商品を一足早く販売した会社がある。東京・港区に本社を置く健康年齢少額短期保険株式会社だ。大手に比べ知名度こそ低いものの、同社がこの健康増進型保険を販売できたのには大きな理由がある。「健康年齢(R)」という指標を活用できたからだ。
健康増進型保険を考える際、何をもって「健康」を判断するのか――その基準は究極的にいうと、個人の“実感”に依るところもあり、非常に曖昧なものであった。しかし同社のグループ企業でもあるJMDCが医療ビッグデータを基に独自開発した個人の健康度「健康年齢(R)」を用いることで、科学的根拠のある客観的な指標で「健康」を判断できるのだ。
同社が2016年6月に発売した「健康年齢連動型医療保険」では、実年齢ではなく、この「健康年齢」を基準に保険料を決定。BMI数値など12の項目を提出し、1年更新で「健康年齢」を算出するので、「健康年齢」が下がっていれば必然的に保険料も安くなる。